鎌池数馬『とある魔術の禁書目録』1巻

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。更新の間隔が開いてしまいました。反省。iPadでコミックもゲームも出来るようになったので、読書の手が鈍り勝ちになっていたことは否めません。反省はんせい。

というわけで今回のテーマは、ことしの『このラノベがすごい!』の堂々1位を取って、男性キャラ部門で主人公、女性キャラ部門ではスピンオフ作品のヒロインと大人気の『禁書目録(インデックス)』です。

主人公の上条当麻がなんといっても熱いひとですね。2ちゃんねるなどで上条さんのお説教はコピペなどで見ていたのですが、いやー熱い熱い。「この圧倒的な現実(リアル)を目の前にして…」なんてとても言えません、凡人は。「イマジンブレイカー」という能力も、なんとも逆説的な魅力です。炎を操る主人公! 氷を操る主人公! エターナルフォースブリザード! みたいなひとは今までにいっぱいいましたが、全ての異能力をキャンセルしてしまうという能力は新鮮なアイデアだと思いました。

難をいうなら…ヒロインのインデックスちゃんがインパクト薄くないかな? 真っ白なシスター服の銀髪の美少女なんて萌えの対象にぴったりなんですけど、何だか中途半端なキャラクターにされているような。そう、属性が無いんですよ! ツンデレでもないし、セクシーでもないし、ロリというなら小萌先生のほうがロリだし、存在自体は神秘的だけど本人に神秘性は皆無だし。「あたしといっしょに地獄までついてきてくれる?」という殺し文句をいうならもっとミステリアスな少女でなきゃ!

文章はそこそこだと思います。読みやすく、(セリフ以外は)自分に酔ったところも見受けられない。ストーリー展開は…18巻も出ている作品の1巻をどうこういっても仕方が無いんですが、最初悪役に思えたひとたちが実はインデックスを守るために泣く泣く戦っていた、というのはちょっと中二ではないでしょうか。まあ、ステイル=マグヌスと神裂火憐が悪い人じゃなくてよかったです。魅力的なキャラですから。でもマグヌスの、瞳の下にバーコードのタトゥーって…ダサカッコ悪い。火憐ちゃんの片足だけ切ったジーンズもな! 瞳にバーコード、というと『多重人格探偵サイコ』を思い出しますね。あれは瞳に直接入ってましたけど。

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ブックカフェに置くか置かないか!? 置かないよ! 典型的なアクションラノベだし、こういうのは家でポテチでも食しながら手軽に読むといいのです。うちの(まだ開店のめどさえ立っていないカフェをそういうか…)シックな雰囲気の中ではもっと静かな本を読んでもらう予定です。

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玄侑宗久『禅的生活』感想

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。今回は生き方本を取り上げてみます。

読み終わった感想は「面白かったなぁ」というのと「"禅"用語をそんなにちりばめなくてもいいんじゃないのか…」ということです。巻末の索引の数、すごい。

生き方本にも色いろあるけど、わたしはこの人の生き方本は好きです。押し付けがましくなく、あっさりとしていて、「こういう考え方もあるよ」と軽く示唆してくれている気がして。逆に苦手な生き方本は「これが正しいの! 死んだらこうなるの! 先祖がこう祟るの!」と「言い切っちゃってる」本です。人の数だけ考え方もあるのだから、絶対はありえないのにな、と思ってしまう。

「禅的生活」って坐禅を組んだり棒でペシペシ叩かれたりというのかな、と思って読み始めたら、どちらかと言えば普通の生活の中での生き方を書いていて、より好感がもてました。たとえ話も盛りだくさんで分かりやすかった。仏教用語がぎっしり散りばめられている以外は。

特にハッとしたのは、「戦争を止めることに禅は役立たない」ときちんと書いていたこと。あるがまま、を受け入れる「禅」だから、敵が攻めてきたら攻めてくるまま、爆弾が落ちたら落ちたままに静かに受け入れることになってしまう。「これは禅だけの問題ではなくて、色々な宗教に向き不向きがあるだろう」と書かれていた作者さんの聡明さと率直さは読んでいてとても心地よかったです。

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ブックカフェ『シンクレール』はフィクション・エッセイ専門なので生き方本は置かないつもりです。すごくいい本なので置きたいのはやまやまなのですが…いや、玄侑宗久さん作家だし、作家のエッセイ集、と言う位置づけで置いてみてもいいかな?

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高橋弥七郎『灼眼のシャナ 1』感想

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。
今回は超有名ライトノベルです。

主人公の悠二は、ある日街で「封絶」と呼ばれる結界のようなものに入り込んでしまう。みんながマネキン人形のように固まっているなかで、ひとり動ける悠二。襲いかかる不気味な化け物たちを大太刀「贄殿遮那(にえとののしゃな)」で片付ける、炎の髪、灼眼の美少女…。

なんにせよ「封絶」「フレイムヘイズ」「王」「トーチ」「ミステス」と物語内専門用語を駆使して、独特の世界を創り上げてしまっていることにまず驚きます。もともとライトノベルに限らずファンタジーは作ってなんぼ、世界観、なのですが、この『シャナ』世界の夕暮れ…魅力的です。

悠二はシャナから事情を聞かされます。悠二はもう死んでいて、いま動いているのはその残りに過ぎないと。体の中の炎…トーチが消えたら、存在もまたゆっくりと消滅していくのだと。最初はあまりの理不尽さにショックを受ける悠二です。しかし、シャナにしだいに深く関わっていく中で、悠二の中にある変化が生まれてきます。それは「仮初の生命であっても、自分はいま、ここにいる」という穏やかな自覚。

おもえば、トーチになってもならなくても、人はいつかゆっくりと消えて行くものなのですよね。病気や事故で若い時に生命を断ち切られるひともいますけど…。ならば、わたしたちの生命もまた仮初めの物、そしていま、ここにいることしかできないんじゃないかと思います。そういう意味で、まだ少年である悠二がその境地にたどり着いのはすごいと思う。それを自覚させたのは、敵に連れ去られる悠二を見た、一瞬のシャナの切なげな表情だったのです。シャナのために何ができるか…。

脇役では、メガネマン池が大好物です。池速人、って元総理の池田勇人からとったのかな。後のふたりの親友の名前も佐藤と田中だし。池のさりげない気遣いができるところと、なんと行ってもメガネ男子なところが気に入っています。

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えーと、このシリーズはブックカフェ『シンクレール』には置きません。基本的にライトノベルは置かないのです。あれも置く、これも置く、じゃきりがなくなっちゃいますから。ライトノベルで置くものは、「本が題材になっているもの(『文学少女』『R.O.D』『戦う司書』(←これはどうかなcoldsweats01)」、「風刺のきいた短編」などです。ギャグもの、アクションものはあえて外す方向でいこうかと。

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貴志祐介『黒い家』感想

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。
ホラーなのでネタバレはしないようにします。

保険会社のお客様担当係のひとが、保険加入者の死に立ち会い、その不自然さに保険金を払えずにいると、家族が「保険金出せ~出せ~」と迫ってくる…これが物話の基本形。けれども、この家族…ていうか夫婦がとんでもない人たちなので主人公は激しく痛ましく怖い目に合わされます。

第4回ホラー大賞受賞作らしいけれど、お化けも幽霊も出てきません。人間の執念のみがこんなにも怖いのか、とひりひりした恐怖に苛まれました。くわしくは書きませんがラストのクライマックス対決シーンは息もつかせぬ出来でした。すべての事件が無事解決し、ほっとしたところで次のトラブルが…と匂わせて終わるのはホラーのお約束ですね。

この事件の犯人のようなサイコパスは怖い。でも、そういうひとを排斥したがる普通の人こそが怖い…という主人公の恋人ちゃんの言葉がテーマなのかもしれません。

えーと、非常に面白かったんですけどちょっとした不満点を。主人公とその周辺の人々に今ひとつ魅力がなかったかなー、と。特に主人公の恋人ちゃん。「この世に生まれつきの犯罪者なんていない」と言う意志を貫くのは立派だと思うんですけど、あまりにも出来すぎのいいこで感情移入しづらい…☆ それから文章ですか。シンプルな文章だけど、ちょっとあっさりし過ぎと感じました。日常シーンがちょっとだけ退屈で…でも、短い文章の畳み掛けはクライマックスで非常にいい効果を出していたので、これは一長一短かな。

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なにはともあれ読んでいて非常に楽しく怖く面白く!だったので、将来のブックカフェ『シンクレール』には置かせていただきたいと思っています。貴志祐介さんの本では、あと『天使の囀り』が気になるな。タイトルが可愛いから…中身は怖いのかもしれませんけど。

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芥川龍之介『歯車』感想

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。

『歯車』は高校生時代に読んだことがあったんですけど…ほとんど内容を忘れてしまっていたので改めて読み直しました。そして感じたことは、「このヒト(芥川さん)ヤバい! もうすぐ自殺する!」というひしひしとした緊迫感です。いや、実際これを書いてまもなく自殺しちゃうんですけど。

小説、ということになっていますがエッセイにも近いのかな。「街で『A先生』と呼びかけられるのが嫌だ」とか、「ファンレターに『あなたの「地獄変」は…』と書かれていて破いてしまった」とかあるので。ストーリーは殆ど無くて、芥川自身と思われる作家が街を点々とする様子が描かれているのですが、精神的に追い詰められているのが伝わってきます。怖い。

タイトルの『歯車』は、主人公が「空中に透明な歯車が見えて、その後頭痛がはじまる」と言っているところから来ているのですが、それって「閃輝暗点」じゃないのかな…?と乏しい医学知識で考えてみたりします。歯車が見えるとその後の頭痛嫌さに睡眠薬を飲んで眠ってしまったりして、あああヤバいよヤバいよ~、と読者をひやひやさせます。

文章はまるで刃物のように透明で鋭いです。そこはさすがだな、という感じです。自分の苦しみをも的確でリアルな筆致で描けてしまう…だから、精神を病んでいったのかもしれません。

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芥川作品はiPadで読んでいただこうかな、と思っています。青空文庫の存在をもっと多くの人に知ってもらいたいんです。でも、呑気なわたしがブックカフェ『シンクレール』を開店する頃にはもうiPadで青空文庫読書なんてフツーのことになってたりして。

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叱られた。

わたしの彼氏は税理士の卵です。(試験をうけている最中) 彼とは毎晩10分くらい電話をしているのですが、昨日はとっても怒られてしまいました。

わたしが「ブックカフェをするために今は本を一生懸命読んでいるんだよ!」と言ったら、「それで? 経営の方のことは考えているの?」と冷たく言われました。「経営…」と私が口ごもると、「ブックカフェはたしかにいまブームだよ。でも、ブームがさったらどうするの? あんなに流行っていたメイドカフェだって今は殆どなくなっちゃったでしょう?」と。「め、メイドカフェとブックカフェは違うもん! ブックカフェは大人の隠れ家なんだもん!」と言い返すと、「メイドカフェのほうが有利なことだってあるよ。オムライスをひとつ1000円で売ったとしても、そこにメイドさんがケチャップでハートを描けば、それだけでお客さんは満足するんだよ。ブックカフェにはそれに匹敵する何かがある? 市立図書館で本を借りてきて、家でお茶を飲みながら読むのよりも良いことがあるの?」と。

「経営だけじゃないよ。内装のことやコーヒーと一緒に出す軽食のことは考えているの? あんたぶきっちょでしょ。人を雇うにしても、自分でもある程度の料理ができなきゃダメだと思うな。ただ毎日本を読んで、それでブックカフェを出そうなんて甘いよ。」「ううう………」「ほら、ボクからちょっとつつかれただけで口ごもる。そんな覚悟で本当にお店が出せるの?」

はい、なにもかも彼の言うとおりでございます。わたしは甘かったです。ブックカフェを出すとしても、それは随分先のことだと考えていました。だから、今は本を読むだけでいいんだって……。ブックカフェブームが去ってしまうことなんて考えてもいませんでした。

「高校の文化祭みたいな店を出したくなければ、もっとちゃんと考えることだね」と言って彼は電話を切りました。うううう~~~~。

とりあえずこんな時はネットに頼る私です。「喫茶店 経営」でググってみたところ、結構な数の「喫茶店経営学校」がありました。「お金はかかっちゃうけど、こういう所に通えばいいんじゃないか!」と一瞬明るくなったわたしですが…まず、熊本にはそういう学校はない。たいてい東京か、あっても大阪です。コーヒーの淹れ方だけを学ぶコースなら週に1回、1年のコースもありますが、経営、内装、食事まで学ぶコースとなると、平日は毎日通って2年間…しかも、実技が主です。クリームの泡立て方、絞り方、カレーの作り方、パスタのゆで方……。どうかんがえても、仮に生徒さんが20人いるとして、わたしはダントツで1番下手くそだと断言できます。みんなの足をひっぱること請け合いです。だいいち、東京に住んで平日毎日学校に通う体力は今のわたしにはまったくありません。

あああ、甘い、甘いよ。わたしってば、ほわほわ夢をみているだけだったよ。

と、とりあえず……体力をつけて……と思うのですが、昨日から37.5℃の熱を出してふーらふらしてます。ならブログも書くな、というところですが、あまりにも心に痛かったので書いてみました。

夢を叶えるためにはまだまだがんばらなくっちゃ!

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ラヴクラフト『ダニッチの怪』感想


こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。
続けてラヴクラフトのクトゥルフ神話ものです。これはそんなには長くないのですが、やっぱり中編なので独立して感想を書くことにします。

閉鎖的な田舎町・ダニッチ。(ラヴクラフト世界にはよく閉鎖的な田舎町が出てきます)そこに生まれた異様な赤ん坊・ウィルバーは一歳にして言葉をスラスラ喋り出し、10歳になる頃には身長6フィート(180cm!?)謎の蔵書をたくさん持っている父親から恐るべき呪文を教わり…そしてマサチューセッツのミスカトニック大学図書館に収蔵されている『ネクロノミコン』を読むために旅に出て、そしてその図書館で謎の死を遂げます。死体は半ば溶け出し、そして彼の実家と同じ悪臭を放っていた…。

「悪臭」っていうのはラヴクラフトのお家芸ですね(嫌なお家芸だ。)わたしも夢のなかでとんでもない悪臭をかぐことがあるので、ラヴクラフトさんの「悪臭」も夢によるものかな、と思います。

ダニッチの怪はこれでは終わりませんでした。ウィルバーの死からしばらくたって、ダニッチの町に巨大なあしあとが発見されるのです。そして、そのあしあとに踏み潰される家も…あしあとは象のような大きさで続いていますが、「本体」は眼に見えないのです。ミスカトニック大学から来た3人の研究者がその化物の退治に当たるのですが…。

クトゥルフ神話のスター(?)のひとり(?)、「ヨグ=ソトース」が出てきます。けっして「ヨーグルトソース」ではありません。ヨグ=ソトースについてよく知りたい方はぜひウィキペディアをどうぞ。

それにしても憧れの「ミスカトニック大学」! マサチューセッツ州にある架空の大学ですが、クトゥルフ神話の聖典ともいえる『ネクロノミコン』を始めとして様々な奇書が集められているステキな大学です。実在するなら英語の壁を乗り越えてでも留学したい! そう思っているクトゥルフファンは日本全国にいっぱいいるでしょう。

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『狂気の山脈にて』でも書きましたが、この恐怖と狂気の世界はぜひ手にとって味わって欲しいのです。読書人にとって楽しいひとときになる事請け合いです。

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ラヴクラフト『狂気の山脈にて』


いちおうこれは創元SF文庫の『ラブクラフト全集』の第4巻に入っている中編なのですが、あまりに長かったので独立して感想を書くことにしました。

ラヴクラフト世界の有名な地名・レン高原が出てくる南極の物語です。

えーと…感想は…ラヴクラフトさん、しつこい! なんべん「通常の山脈ではありえないような立方体の奇妙な山頂」って書けば気が済むんですか。なんべん「名状しがたい恐怖」って書けば気が済むんですか。そりゃー、じわじわと恐怖をかきたてていってラストにおもいっきり怖がらせるのはホラーの王道ですが、その「かきたてる」段階が長すぎです。南極の話だけあって、いい加減凍るような気持ちになっちゃいましたよ。

……と文句を言ってみたりもしましたけど、ラヴクラフトさん大好きです。小説としての出来不出来をいうと「うーん…」となってしまう小説も多いのですが、とにかく自分が怖いと思うものを「これでもか!」と書き続けるその意欲には敬意を表してしまいます。

頭部が星型をした、円錐形のズルズルした謎の生き物…食い荒らされた探検隊員たちと犬ぞりを引く犬たち…そして「狂気の山脈」の奇妙な洞穴とその奥に住むもの…これは豊かな想像力、なんてものをはるかに超えています。ラヴクラフトさん自身の悪夢としか言いようのない世界です。

そして最後に姿を現す「名状しがたい恐怖」。「テケリ・リ!」(ばけもののなまえではありませんよ)(鳴き声ですよ)

ラヴクラフト全集の帯には、アダルトゲーム『デモンベイン』シリーズのシナリオライター・鋼屋ジンさんの「少年ラヴクラフトの悪夢から…」という言葉が記されていますが、まさにラヴクラフトの世界は感受性豊かでお魚嫌いの少年の悪夢、というのがふさわしいでしょう。

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ラヴクラフト全集はブックカフェ『シンクレール』の構想が浮かんだ時に、最初にぜひ置きたいと思ったシリーズのひとつです。本好きのひとには一度は読んでほしい。想像力を超えた想像力のはたらきを見てください。

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桃野しずくのどうでもいいようなよくないような過去


ブログネタ: 【賞品付き】あなたの”どうでもいい過去”を教えて!参加数拍手

えーとですねー、砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくのどうでもいいけどちょっと自慢の過去…それは白血病になったことです。20歳の時でした。いまでこそ見た目的には「………」な桃野ですが、20のときにはそれなりに可愛かったのですよー。バブルも絶頂期で大学生で、長い黒髪のワンレンにしていました。

でも白血病って…ドラマとかでご存知でしょうけど、抗癌剤を使うので髪が抜けるのですよー。いちおう入院前に肩までばっさり切って、それでもショックだったんですけど、治療が進むにつれてゴソゴソぬけてぬけて最後には一休さんのようなつるっぱげになってしまいました。

いやー、抗がん剤の治療はいろいろつらかったんですけど、いちばん思い出に残っているのは毛が抜けたことですね。髪に限らず、まつげも眉毛も抜けて、なんだか男だったらヤバい人ですよ。

彼氏にお見舞いに来てもらう時には眉を書いてニット帽をかぶっていたんですけど、(ちなみに今もその彼氏と付き合っています)「落ち武者みたいだね」と言われてめっちゃショックでした。

男性諸氏は彼女が白血病になってハゲになってしまっても、「落ち武者みたいだね」とは言わないであげてくださいね!

以上、もと落ち武者の桃野しずくでした。

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夏目漱石『門』感想

こんにちは。砂上の楼閣ブックカフェ『シンクレール』仮想店長桃野しずくです。
ネタバレを含みます。

『三四郎』『それから』『門』といえば漱石の初期(中期?)三部作ですが、とりあえず『門』を最初に読んでしまいました。「門」とは寺の山門のことであり、そのなかの世界に生きることもできず、だからといって俗世間で生きて行くのも辛い、そんな主人公に共感してしまったからです。わたし自身、キリスト教に入信しようとして洗礼のための講座にかよったものの、結局洗礼を受けることはありませんでしたから…。

『門』の主人公は、かつて京都大学時代の親友だった安井の内縁の妻だったお米(おこめではありませんよ)を奪うように駆け落ちして、ひっそりと暮らしています。夫婦喧嘩もしないし、贅沢もしない。ただほのぼのと暮らしているように見えますが、これはいつもふたりの心のなかに、裏切ってしまった安井への後ろめたさが潜んでいるからだと思われます。

何も起こらないでいるとき、ふたりは本当にいい夫婦に思えます。お米が病気になってしまったときに必死で看病する宗助(主人公)はとてもけなげに思えます。お米も宗助の気持ちをいつも汲んでいて、優しく優しく暮らしています。

こんなささやかな夫婦生活が全体の5分の3くらいまで続きます。タイトルの『門』って何よ?と読者(主にわたし)が疑問に思い始めたとき、思わぬ事件が起こります。親しくしていた大家さんの弟が、蒙古から帰ってくるというのです。「安井」という、京都大学を中退して蒙古に渡ったという友人を連れて。

宗助もお米も知りませんでした。安井が大学を辞めていたことも、モンゴルにわたっていたことも…。そうすけはにげだした! しかしまわりこまれてしまった!(←うそ)回りこまれもせず、宗助は一目散に(…と私には思えた)鎌倉の禅寺へ逃げ出します。弱さを捨て、悟りを開く事を目的として…。

しかし禅寺での生活は宗助に何も与えませんでした。見習うべき若い僧や、威厳ある住職の生き方にふれても、宗助は弱さを捨て切れませんでした。与えられた公案も集中して考えることもできず、座禅を組むことも心の憂いを払うことにはならず、結局何も得ることのないまま山門を降りてきます。そして、冒頭に書いたように、宗教の中でも生きられない、でも世間で楽に暮らしていくこともできない…と自分の運命を悟るのです。

ラストシーン、春がきたことを喜ぶお米に、「また冬がくるさ」と宗助が一言いって、そして終わる…永遠に救われないこの夫婦の未来を暗示しているような一文でした。

wikiによれば、安井との対決のシーンがはぶかれたのは、漱石の胃潰瘍がひどくなっていて重いシーンが書けなかったから、ということですが、わたしは安井と対決する宗助よりは、一目散に鎌倉へ逃げ出す宗助のほうが好感が持てます。抱えきれない後ろめたさに押しつぶされるように、せめて宗教に救いを求めて、そして何もできずに帰ってくる、そんな情けない宗助こそが、生きていく人間の姿だと思います。

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夏目漱石の本は「すべて」『シンクレール』に置きたいのですが、そうするとすっごくスペースを取ってしまうので…お店にiPadコーナーをつくろうと思うのですけどどうでしょう? 青空文庫の本なら、漱石も鴎外も芥川も太宰はんもすべて読めちゃうんですよ。4台くらい専用コーナーを作って…うん、いいな、そうしようっと。

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