これもずっと前から読んでみたかった作品です。何でかっていうと、ひとつ年下の妹がヒロインのナッキーを「キライ!」と言っていたからです。他にもナッキー嫌いの女性って多いみたいで、そんなに嫌われるヒロインってどんなんだ、と興味をいだいていました。で、読んだ感想は…これは嫌われるわー
すごい、ナッキー。
聖美(さとみ)四中にずかずか入ってきた転校生、北城尚子、通称ナッキー。先生でもないのに「起立!」と号令をかけるナッキーにみんな唖然。隣の席に指定された岩崎に、「ファニーフェイス、好みのタイプ!」と言ってムッとさせる。「ベビーフェイスじゃもっと嫌だったでしょ」と追い打ちをかけ、ふたりは取っ組み合いの喧嘩に。
「ナオコ・キタシロ」だから通称ナッキーらしいです。自分で言うかな、ふつう
いや、ぜんぜんふつうじゃないんですけど、このナッキーは。岩崎と互角の取っ組み合いをするナッキーは男勝りと言えるかもしれませんが、それ以前にめちゃめちゃ自分から喧嘩売ってます。周りの生徒は「『ばかめ』が負けるぞ! すごい女」と驚いていますが、なんで「岩崎祝(はじめ)」が「ばかめ」になるのかは1巻を読み終わっても説明がありませんでした。バカだからって、「はじめ」→「ばかめ」は苦しすぎると思うんですけど…
互いにパンチしたり顔をひっかいたりして、ふたりとも廊下に立たされる。岩崎は「俺たち勇士みたいだ」と笑い、ふたりは顔を冷やしにかってに水道へ走っていく。そしてそのまま校庭でドッジボール。「お前気に入ったよ」と岩崎が言うと、「あたしもよ、チビ」と返される。
典型的な喧嘩して仲良くなるエピソード…なんでしょうけど、どう考えてもナッキーが悪いのが気になって
さらにチビ呼ばわりです。ひどい。岩崎は見た目そんなに背が低く見えなかったので、「チビ」というあだ名は意外でした。ナッキーが言ったとおり「ファニーフェイス」だし、あとから出てくることですけどちゃんと女の子にもモテているし。
「聖美悪たれ伝説を作る会」をつくろう、と授業中に岩崎と話しあうナッキー。数学教師の野口先生が、私語をしているナッキーを当てて答えを言わせるが、スラスラと正解を出すナッキー。「もういいですか、大切な話し合いをしてるんで」と私語を続ける。「単なる悪たれにはなりたくない、やるべきことはきちんとやる」という彼女。
「悪たれ」という言葉に時代を感じますね…
しかしここでもナッキー良くない。授業は、正解を出せば私語してていいってものでもないでしょう。野口先生はこの後この漫画にはめずらしい純粋悪役になっていきますが、ここでは被害者です。「やるべきことはきちんとやる」というのには「真面目に授業を聞く」というのはふくまれないのかな…
校内を副委員長の五月野さんに案内してもらうナッキー。美術室で、素晴らしい絵を描いている飛島峻先輩を見かける。五月野さんが「彼に憧れている。振り向いてくれなくてもいい」というと、「うそだね」とナッキー。「自分が傷つくのが怖いから、振り向いてくれなくてもいいなんて言ってるんだ。あんたはプライドばかり高くて自分の主張をもたない、あたしの嫌いなタイプ!」とずけずけ。五月野さんが思わずナッキーの頬を叩くと、ナッキーは「あんたのこと大好き!」と頬にキスしてくる。
さ…五月野さんお疲れ様だー
ナッキーの言うことは確かに正論かもしれないけど…けど、会って間もないナッキーにここまで言われる筋合いはない。大親友になっても、言っていいかどうか迷うレベルのことでしょう。おまけに「あたしの一番嫌いなタイプ!」って言って。頬を叩かれて「あんたはちゃんと主張をもったじゃない、あたしけんかって好きよ、ぶつかるのがすき」って言うけれど、それは結果的に喧嘩になった場合であって、ナッキーみたいに喧嘩を売って歩いてどうするの。そして「舞ちゃん(五月野さん)、すき!」ってキスされても。申し訳ないけどちょっとキモいかも…
体育のソフトボールでピッチャーを務めるナッキー。相手のソフト部副キャプテンと熱戦を繰り広げ、最後はアウトを取って互いを認め合う。みんな上品ぶって本気で体育をやってない、ときつくいうナッキー。「みんながあなたのようになれるわけじゃない」と舞子に言われても、「あたしは自分が一番正しいと思ってるんだ」と聞かない。
ソフト部副キャプテンとの戦いはナイスでした。でも、みんなが本気でやっていない、という批判は…また、どうかなー
いや、確かにそうなのかもしれないけど。「あたしは自分が一番正しいと思ってるんだ」……そうでしょうね。ただ、それって危険な考えというか、極端なことを言えばファシズムっぽい気もするんです。2大政党制じゃないけど、ナッキーと張り合えるくらいの反対意見を持ったひとがいないと、ナッキーの存在はなんかヤバイ。
クラスメイトの初音に、刺々しい態度を取られるナッキー。「岩崎くんに近づかないで」と言われてしまうが、「あたしに文句言わないでチビに告白しろ!」と言い返す。そう言われて思い切って岩崎に告白する初音。岩崎はまだ男女関係を意識したことがなかったのでいちおう玉砕ということになるが、告白してすっきりした、と初音は思う。「悪たれ会」は舞子も入れて4人になる。
これはナッキーが正論かな。いやいつもナッキーは正論なんだけど。初音はくるくるツインテでぷにぷにしててかわいい女の子です。岩崎は告白されてもしどろもどろでしたが、まあ中2だもんね。女子のほうが意識は進んでるかな。それにしても、ぶつかって改心(?)させたひとたちをつぎつぎに「悪たれ会」に放り込んでいるナッキーですが、舞子も初音も「悪たれ」からは程遠い気がするんだけど。
テストで、クラス1頭が良くてガリ勉の田村と並ぶ成績をとったナッキー。その日帰ろうとすると、「家庭教師が何人待っているのかな?」と嫌味を言われる。家庭教師なんていない、というと「じゃあカンニングの技術が優れているんだ」と。東京でいちばん授業が進んでいるこの学校で、田舎から来たナッキーがいい点を採れるのはおかしい、という田村に、「世の中自分ひとりだと思いなさんなよ!」と叫ぶナッキー。
これはさすがに田村が悪すぎる。ナッキーの言うように、世界が狭すぎる。とはいえ、田村の気持ちもわからなくもないです。自分は何もかも犠牲にして必死で勉強していい成績を取っているのに、普段から遊んでばかりいるように見えるナッキーが同じような点数を取れば辛いでしょう。「世の中自分ひとりだと思いなさんなよ!」のシーンは有名なので「おお、ここに出てくるのか」という感じでした。あと、「カンニングしたんだ」ってクラス1の成績を取るのにまわりをカンニングしたってどうしようも…あ、自分でカンペを作っておけばいいのか。
ソフト部に入ってほしい、と言われたナッキーだったが、練習には出られない、合宿にもいけない、と色々条件をつける。それにお冠になったソフト部の上級生たちがナッキーの入部テストをするという。学校中が見守る中、まずエースピッチャーの球をバッティングするナッキー。3球目でゴロで当てて、クリア。次は100本ノック。60本目くらいからほとんど意識を無くしていたが、100本見事に捕るナッキーだった。
ナッキーが勝負好きだから入部テストに応じたけど、ふつう向こうからお願いして入ってくれ、と言ってるのに入部テストなんてするだろうか…
まあ、この漫画って全体的にふつうじゃないんですけど。テスト結果は、是非はいってほしい、ということでした。あたりまえだけど。でも、この時に限らず「あたしは忙しい」といつも言っているナッキー。何か家庭の事情があるのかな。初音に「うちの母さんは日本一だから」と言ったりしているところが気になります。
体育祭の準備、全種目に出るというナッキー。それにつられてみんなもいろいろな種目に参加する。田村だけが、自分はいいから、と渋い顔。ナッキーはかってに田村の名前を種目に登録し、さらにクラス対抗仮装行列の実行委員に田村とふたりでなるという。
うう…体育祭…ものすごい運痴だったわたしにはトラウマな行事。ナッキーみたいのがクラスにいたら地獄だったなあ。しかも、誰もが何かの種目で1位を取ること!だもの。ムカデ競争でもスプーンリレーでもいい、って、わたしそう言うのでもビリしか取れないよぅ
田村くん同情する。
飛島先輩からモデルになってほしいと言われるナッキー。いきいきと動く、そのままの姿を描きたいという。
最初ヌードモデルだと勘違いして「からだにも自信があるのよね」とかボケるのはお約束。でも、学校中のあこがれの先輩、話しかけるのも恐れ多いような美形に目をつけられるナッキーは、よっぽど輝いているのでしょう。彼に憧れている舞子に「妬くな~」みたいなことをいうのは相変わらずの無神経。
体育祭。クラスメイトで1位を取ったひとには、クラスカラーである緑のネッカチーフをプレゼントするナッキー。仮装行列のお題は女関取とそれに群がる女装男性ファン。ぬいぐるみで太った女関取にみんな爆笑。仮装行列も無事一位になり、田村も緑のネッカチーフを贈られる。
うう…こんな時でもわたしはネッカチーフもらえなかった気がする…まあ、ナッキーがクラスにいれば、こんなわたしでもなんとかなるように工夫してくれたでしょうけど。けっきょくクラス全員がネッカチーフをもらって、大成功のうちに体育祭は幕を閉じ、そして田村くんは「ナッキー」と呼ぶようになります。田村くんも「悪たれ会」入り決定なのです。
秋。焼き芋屋さんが学校のそばにいたので、門から呼びかけて休み時間に買い食いをする「悪たれ会」メンバー。野口先生に見つかって叱られる。田村に、「優等生の君があんなやつらのなかまになって」と言うと、「生徒を『やつら』呼ばわりするのは良くない」と言い返される。ナッキーたちの担任の金田先生に文句をいっていた野口先生だったが、婚約者の淑子先生からも「野口先生が悪い」と言われてしまう。
それは、生徒を「あんなやつら」呼ばわりするのは教師としてほめられたことではありませんが、休み時間に校門によじ登って買い食い、というのもほめられたことではありません。言ってみればどっちもどっち。なのに野口先生だけまわりから冷たくされて、気の毒かも
ナッキーと初音が部活帰りに校舎裏を通ると、野口先生と淑子先生がもめていた。淑子先生が野口先生のプロポーズを断っている。「あなたなら理想の妻になってくれると思っていた」という野口先生に、「家庭科の教師だからといって家庭的とは限らない」と言い返す淑子先生。強引に迫ろうとした野口先生を見て、ナッキーは声を上げる。「盗み聞きしていたのか。教師に向かってなんてことをするんだ!」「教師がなんてことをするんだ!」 ナッキーは「今後あなたを教師とは思わない」ときっぱり。
野口先生はこのまま悪役の道を突っ走るのかな…
淑子先生がプロポーズを断る気持ちはわかるけど。ナッキーに「教師とは思わない」と言われて「数学を落とすと進学できないぞ」と脅すような野口先生だから。「脅せないはず。あたしに有利な証拠がありすぎる」と堂々たるナッキーでした。今後野口先生がなにか卑劣な手で仕返ししてこないか気になります。それと、いっしょにいた初音がとばっちりを食らわないかも。
飛島先輩がナッキーをモデルにした素敵な絵を描いている、と舞子から聞かされて、こっそりふたりで絵を見に行く。そこに描かれていたのは、少し淋しげに微笑むナッキーの姿だった。「どこでこの表情を見たのか…」といぶかしむナッキー。飛島先輩はただものじゃなさそう。
ナッキーの絵は女神のように綺麗なものでした。寂しげ、と舞子は言っているけれど、絵に描かれたのをみるとそうでもなさそうな…? (庄司陽子先生の画力に文句をつけているわけではありません) でも、ナッキーにはその表情の心あたりがあるんですね。やっぱり母親関係かな、と思うけど、当たっているでしょうか。ここで1巻は終わります。