【同人小説】『愛人1』くりこ姫・著(ミスター味っ子パロ)(えみくり)(1989年作品)
わたしのタマシイの作品ともいえる一作です。正直言って、今でも月に一度は読み返しています。そのたびに、新たな感動と誤字脱字を発見します。それくらい思い入れがあるんです。ネット上でまとまった感想を発表している方がとくにいらっしゃらないようなので、センエツながらわたしが最初の感想を書く~![]()
プロローグ「シャングリラ」
味吉陽介は、現味皇・味吉陽一の一人息子。レストラン『シャングリラ』の30代になったばかりのシェフ長・堺一馬に恋をしている。が、幼いころに、一馬が父に抱かれているのを見てしまって以来、一馬が父の愛人のひとりであることを知っていた。ある夜、閉店後のシャングリラで、陽介は一馬を強姦する。けれど、一馬は「自分は陽一のものだ」ときっぱりと陽介を拒絶する。父・味吉陽一に一馬を渡すように直談判に来た陽介に、陽一は「一馬は自分から離れたら料理人として生きていけない」とあざ笑う。
いきなり30代の一馬・陽一、そして陽一の息子の陽介のストーリーから始まります。陽介が15歳、陽一が結婚したのが18歳という設定ですから、陽一・一馬は33歳くらいですね。これは今後の展開を知らないと分からないことですけど、「一馬が陽一の庇護下から離れたら料理人として生きていけない」というのはこの『愛人1』の時点ではおかしくないのですが、『愛人3』まで読むとすこし変な設定になってるんですよね。後に書くことですけど、一馬は某登場人物の遺産で大金持ちであり、その気になれば陽一の権力などあっさりはねのけられる力がありますから。──でも、どちらにしろ、「一馬は俺だけのものだ」と言って微笑む陽一は、大人の魅力に溢れています。えみこ山さんの挿絵の、万年筆を薄笑いの口元に添えている陽一もステキです。
第1章「新・味皇ビル」
18歳で先代・村田源二郎の意向により味皇を継ぐことになった陽一。日之出食堂の跡地には「新味皇料理会ビル」が建つことになる。そのこけら落としと、味皇襲名、そしてみつ子との結婚式を兼ねた大イベントのシェフ長を、陽一は一馬に任せる。陽一が結婚式の料理を作らせることにひどく傷つく一馬。そんな一馬の元を訪れた陽一は「お前は俺の愛人だから、通ってやるよ。子どもができても」ととどめの一言を投げつける。
原作とアニメから設定をフレキシブルに借りているこの作品ですが、味皇・村田源二郎が死亡しているというのは原作側の設定ですね。でもみつ子が出てくる、というのはアニメ版の設定です。あと、コオロギと思われる一番弟子は少年、という設定みたいなので、それは原作からです。マジ、フレキシブルです。「愛人」というキーワードがはじめて出てくるのもこの第1章です。相合橋で涙を流す一馬。その場所は、この先何度も出てくる事になります。それと、陽一が料理を止めてしまった、というのがこの章のトピックのひとつです。料理やめたのにもあとでちゃんとした理由が書かれます。──個人的には、マンションの玄関先で犯されてしまう一馬に非常に萌えました。「鬼」と呼ばれる『愛人』シリーズの陽一の面目躍如です…(躍如してるのか
)
第2章「結婚式」
陽一の結婚式に、最高の料理を作った一馬。料理が終わった頃、厨房に訪ねてきたのは中江兵太だった。一馬の着替えを手伝っていた中江は、からかいがちに一馬に襲いかかる。キスされて、愛撫され、すんでのところで逃れる一馬。──新味皇ビルの最上階に泊まることになった一馬の元へ、結婚初夜だというのに陽一が訪れる。みつ子には薬を飲ませて眠らせた、という陽一。中江に襲われかけたところをただ見ていた、という陽一に、一馬は激しく怒り、絶望する。
『愛人』ワールドの重要人物・中江が出てきます。一馬にそういう意味で興味をいだいているらしい、陽一とは違うベクトルの天才料理人。──そして、新婚初夜に奥さんを薬で眠らせて、愛人の元へ来る「鬼」な陽一さん。「最初からこの夜はお前と過ごすつもりだった」らしいです
中江に襲われていたのに助けてくれなかった陽一を責める一馬ですが、あなたも男でしょう、それくらいの危機は自分で回避してください
もっとも、この作品の中の一馬はすごく華奢で折れそうな少年、らしいからムリなのかな
?
第3章「帰国」
一馬の持っていたチェーンレストランの株を、陽一が過半数買いあげてしまった。職場を失った一馬に、陽一は「銀座に一等地を用意したから、そこでシェフ長となるように」と命令する。陽一の言いなりになるまいと留学を決意する一馬だったが、手配したチケットは一馬の手に入ることはなかった。
タイトルの「帰国」は、3ヶ月にわたる陽一とみつ子の新婚旅行からの帰国、を示しています。海外で旅行しながらあちこち株式に手を回したらしいです、陽一さんは。帰国後に、ふたりが貸切のレストランで相対するシーンがありますが、そこで一馬を抱きながら、陽一は「いつも違う表情をして、違う匂いをさせて…すべての一馬を手に入れないと、俺は気が狂う」と聞かせるともなくつぶやいています。一馬に執着する陽一の狂気が初めて描かれます。それと同時に、陽一にあらゆる権利を奪われた一馬も、陽一に手首を握られただけで理性を失い、ただ陽一のされるがままになってしまう…そんな恋慕の情が描かれています。
『愛人2』の感想へ続きます。
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